雷山川
概説 雷山川は大きく、右俣、中俣、左俣とに分かれ、右俣、中俣は上部でさらにいくつかの沢に分かれている。入渓場所の高度が450m程であり、稜線までの高度差が450mだから、溯行距離が短いきらいがある。また、滝の数、スケールも他の山域の沢にかなわず、はっきり言って、技術的に溯行価値があるとは思えない。しかし、花崗岩よりなる中流域の渓谷は美しく、気持ちの良い部分ではある。何れの沢も詰めが急傾斜となっているので初心者を同行するときは慎重に行動しなければならない。所要時間2~3時間。
雷山川概念図
アプローチ 紅葉の名所として名高い千如寺の徒歩5分程下の「雷山観音前」バス停が広い駐車場となっており、ここに車を留める場合が多い。数分車道を歩くと、「雷山自然歩道」入り口の道標があるので、これに従って登り20分程で車道へ出る。2~3分で清賀の滝へ着き、ここが中俣の入渓場所となる。なお、車道を左(東)へたどると10分程で左俣の入渓点、右にたどると15分で「雷神社」(いかづちじんじゃ)へ着く。ここが右俣の入渓点となる。アプローチを短くしたい時は、千如寺を通り過ぎて5分ほど車を飛ばすと、直接、雷神社に出る。ここにも広い駐車場がある。雷神社の所は十字路になっており、北へ向かう車道は「雷山国際キャンプ場」へと続く。橋を渡って東へ向かう車道(車止めがあって進入できない)は清賀の滝すぐ下の車道へ通じている。
a. 雷山川右俣コース解説 Cランク 雷神社から川伝いに国際キャンプ場への車道を200m程歩くと、道は川筋を離れる。ここが入渓点。いくつか小滝が出てくるものの変化のない谷筋を詰める。途中の堰堤が目立つ程度。1時間ほどで二俣。
雷山川右俣および左俣溯行図
・ 右俣の右俣
滝らしい滝も出てこないまま40分程で車道を横切る。歩道伝いに堰堤を越えると、すぐに不動像が刻み込んである広場に出る。横には5m程度の滝が水を落としている。そのまま谷を詰め10分程で再び車道と交差する。ここは雷山上宮コース入り口。本流はこの上で水が消え、ただのガレ場が続くのみ、行くだけ無駄といった感じがする。雷山山頂より5分ほど下の登山路へ出る。滝が掛かる支流も上部はガレ場が続くだけである。
雷山川右俣の右俣・不動像
・ 右俣の左俣
平凡な谷筋を詰めていくと正面に高度差30m程度の岩壁が出てきて、要所にはフィックスが張ってある。岩登りの場としては容易すぎ、一方水流が無いので滝を登る感じもしない。これを越えるとくぼんだ岩盤が続き、登山道を横切る。この部分に水流があればとつくづく思う。上にも10m程度のくぼんだ岩盤が続くが、すぐにガレ場から樹林帯となり、雷山山頂より10分ほど下の登山路へ出る。
雷山川右俣の左俣・30m岩壁
b. 雷山川左俣コース解説 Bランク 入渓点は清賀の滝への登山路を横切って車道をさらに5分程度歩いた所。沢に入り、10分程で二俣に出る。
・左俣の右俣 入り口は8m斜瀑となっている。3m斜瀑が続き、すぐに10m斜瀑、樋状6m滝が出てくる。これを越えて10分程度で二俣となる。左へ入ると2m斜瀑、2m滝、6m斜瀑、3m滝が出てくる。雷山川では最も興味の持てる沢だが、最後の急斜面が長く、うんざりさせられる。稜線に出てから尾根筋を辿り、20分程度で踏み跡に出る。ここから5分で縦走路。さらに35分で雷山山頂。
雷山川左俣の右俣・10m斜瀑
・左俣の左俣
左俣入ると、2〜4m程度の滝が7つ程出てくる。左俣入り口から40分程で二俣となる。左へ入ると源流状となる。この上に7m斜瀑、2m斜瀑、小連瀑と続くが水量が少なく見栄えがしない。稜線に出ると、踏み跡がある。これを下れば30分程度で林道へ出るが、下部は道が荒れ気味。上へ踏み跡をたどれば10分程度で縦走路へ出る。さらに35分で雷山山頂。
雷山川左俣の左俣・7m斜瀑
c. 雷山川中俣コース解説 Bランク
雷山川中俣溯行図
清賀の滝は下部7m斜瀑、上部8m直瀑よりなる。下部7m斜瀑は容易、上部8m直瀑はシャワークライムで水流の右を登る。ここは安全の為にザイルが必要だろう。技術的には問題ないが、中間ピンが無いので、行動は慎重に。しかし、しめ縄が張ってあるから、登るかどうかは悩ましい所。一方、滝の左側を簡単に捲くことが出来る。清賀の滝から15分程で谷は二つに分かれる。
清賀の滝
・ 中俣の右俣
右股に入るとすぐに4m滝に出くわす。この上も滝が続くものの何れも小さい。途中でいくつかの分岐が出てくるが、本流と思われる沢筋を詰めていくと10m斜瀑が出てくる。滝らしい滝はこれ一つ、後は小滝を2つ越えれば源流帯となりやがて縦走路へ出る。ここから雷山山頂まで5分。
雷山川中俣の右俣・3m3条滝
雷山川中俣の右俣・10m斜瀑
・ 中俣の左俣
左俣に入るとすぐに5m斜瀑、2m滝、2m滝と3連瀑が出てくる。この辺りは花崗岩の気持ちの良い所である。さらに、5m斜瀑、2m斜瀑、5m滝、小連瀑と続く。この後も2m滝、2m滝、小連瀑計20mが出てくる。左俣入り口から1時間ほどで稜線上の踏み跡に出、これをたどり5分で縦走路へ出る。ここから雷山まで30分程度。
雷山川中俣の左俣・5m斜瀑 1
・ 中俣右支流 Cランク
清賀の滝から西へ車道を5分ほど歩いたところが入渓点。入渓点には大きな堰堤が控えている。3m、4m、2mと小滝を越えながら沢筋を詰めていくと20分程で細い10m斜瀑が出てくる。左の苔の生えた壁を登るが不安定。初心者がいる場合にはザイルを使用した方が良い。滝のすぐ上で登山道を横切ると間もなく源流帯となり、やがて縦走路へ出る。ここから雷山山頂まで5分。
雷山川中俣右支流・4m斜瀑
雷山川中俣右支流・10m斜瀑